リアルすぎるCG女子高生Sayaの止まらぬ進化、目指すべき姿とは?
2020/05/24

リアルすぎるCG女子高生Saya。サラサラの髪、麗しく艶やかな肌、そして、可愛らしい顔立ち。”かわいすぎる謎の女子高生”とも言われ、日本国内で話題になりました。
ひと目みると本物の女子高生と見間違えるほどのクオリティ。BRIGHTでも、実写と見分けがつかないCG女子高生Sayaを過去に紹介しました。
実在する人間にしか見えない!3DCGの女子高生Sayaがリアルすぎる |
2015年に登場して以来、CG女子高生Sayaがとんでもないレベルにまで進化していたので、改めて紹介したいと思います。
CG女子高生Saya、実際のアイドルコンテストに参加

実写にしか見えないCG女子高生は、誕生から2年後になんと実際のアイドルコンテストに参加。それが講談社主催のアイドルオーディション「ミスiD2018」です。
オーディションの紹介動画がこちら。
Sayaが動いている・・・!

恥じらいながら笑ったり、こちらを振り向き軽く会釈したり、ぷくーっとほっぺを膨らませたり。表情豊かなSayaを見ることができます。
Sayaが歩く様子や自然なまばたきまで、奇跡のリアリティはそのままにクオリティの高い動画となっています。
可愛らしい動作や仕草をみせたSaya、「ミスiD2018」で特別賞を受賞しました!
CGの域を越えたSaya、海外からの注目度も抜群!
2018年3月、アメリカ・テキサスで開催された「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」。世界最大級のインタラクティブ見本市で、双方向でやりとりできる新しいゲームや通信機器が勢揃いしました。

そんな世界の大舞台に93インチの8Kモニターに映し出された等身大のSayaの姿が。

Sayaがみせた新たな能力。目の前の人に微笑みながら手を振ったり、目をそむけたり、まるで生身の人間のように表情を返してくれるまでに進化していたのです。
コミュニケーションを可能にしたSaya、進化のワケ

Sayaを生み出したのは、石川晃之さんと石川友香さん。TELYUKAというユニット名で、夫婦でCGアートの創作活動を行っています。
Sayaの進化、人間らしい動作を実現しているのは、Saya生みの親でもあるTELYUKAの技術力です。

まずはその外見。Sayaの吸い込まれそうになる瞳は、実際には何枚もの絵を重ね合わせてつくられたもの。
Saya_facial test pick_001
— TELYUKA_Saya (@mojeyuka) October 11, 2016
Saya表情テスト中 その1 https://t.co/hj9Oisuksv
さらに、Sayaの髪の毛は人間と同じおよそ10万本で、その1本1本に細かい動きをつけ、歩いたり、頷いたりしたときの微妙な揺れを忠実に再現しているのです。
NHKの番組「サイエンスZERO」で、石川友香さんはSayaの表情や動作について次のように語っています。
考えているとき、人間は上を向いたりするじゃないですか
目の動きをだいたい見ていると「考えているな」とか「なんかこっちが嫌なこと言っちゃったのかな」とか、ちょっと表情が曇ったりとか
微妙な表現ができるようになったほうがいいかなとは思っているんです
このようにとにかく細部にこだわって、Sayaはつくられているのです。
Sayaがリアクションをする仕組み
それでは、Sayaはどのように人の表情や動きを理解しているのでしょうか?
Sayaが映し出されたモニターの上部にはカメラが設置されています。

そのカメラから人の表情や特徴を数値化、コンピューターが計算し、相手がウキウキなら、Sayaも明るい表情に、逆に不機嫌なら、Sayaも暗い表情になります。
この双方向のやりとり、TELYUKAもその難しさを実感していたようです。
同番組で、石川晃之さんは人とのやりとりの難しさを次のように話しています。
映像はある程度作って、その人がどう見ているのかって考えて、やりとりが一方向だから、ある程度理解しやすいし、伝えやすいものかなと思うんですけど
インタラクティブ性が出てくると、それが細かくやりとりされるっていうところで、表現の仕方ってすごい難しいなっていうのを感じたんですね
外見は私たちが驚くほどのクオリティですが、その中身はまだまだ赤ちゃんのような状態。そう、Sayaはまだ進化の途中なのです。
Sayaが越えなければならない「不気味の谷」
ロボットやCGを人間に近づけようとすると、そこにはある問題が生じることになります。その問題こそ「不気味の谷」です。
「不気味の谷」とは一体何なのか。
人間や動物の動作を忠実に再現すればするほど、嫌悪感や不快な気持ちを抱くことになります。それが「不気味の谷」に落ちた状態になります。
たとえば、こちらの動画を見てみましょう。
Today there was a first on #ThisMorning as we welcomed an actual, real-life robot onto the sofa for a chat 🤖 @RealSophiaRobot not only drew pictures of @hollywills and @schofe, she also summoned the memory of Gordon the Gopher! 😂 pic.twitter.com/xQlpdPKJG3
— This Morning (@thismorning) November 21, 2019
Is the new Boston Dynamics robodog awesome or terrifying? pic.twitter.com/ZGoRhagiqI
— CNET (@CNET) February 13, 2018
いかがでしょうか?
まるで感情を持っているかのような表情に、犬が歩いているようななめらかな動き。その精巧さに驚く反面、「奇妙だなぁ」「気味が悪いなぁ」と感じなかったでしょうか?その感覚がまさに「不気味の谷」に落ちた、という状態です。
可愛らしいSayaですが、Sayaも人間らしくあればあるほど、必ずこの「不気味の谷」の問題にぶち当たることになるのです。
Sayaはどのように「不気味の谷」を越えるのか?
Sayaは初めて「不気味の谷」を越えたCGと称されることがあります。
どやって「不気味の谷」を超えることができるのか。その答えがNHK WORLD-JAPAN「Beyond the Uncanny Valley(不気味の谷を越えて)」で言及されていました。
この番組内で、石川晃之さんは次のように語っています。
ペンを使って書くように、まるで絵を書くように、デジタル上でスカルプティング(造形)できるようになった
習得できるまで4年ほどかかった
また、石川友香さんはSayaの肌感について ー
ファンデーション感をないようにしないといけない
潤いのある肌っていうのを目指す
Sayaの肌を構成するのは140ものレイヤー(層)で、そのすべてが手書き。先に述べましたが、瞳の構造や10万本もの髪の毛など、細部へのこだわりこそが「不気味の谷」を超えることを可能にしているようです。
Sayaがつくられる過程、断片ではありますが、ご覧ください。

最新バージョンのSayaの姿
そして、Sayaの最新バージョンがこちら。
2019verのSaya 2015verのSaya#cg女子高生 pic.twitter.com/Gv0UccqC65
— TELYUKA_Saya (@mojeyuka) January 30, 2019
2015年のときもそのクオリティの高さにハッとさせられましたが、よりそのリアリティに磨きがかかっていますね。
さらに、「日本画のような質感の中で表現できないかの試みで、実験的な制作に挑戦してみました」と、これまでとは違ったSayaの一面を見ることができます。
— TELYUKA_Saya (@mojeyuka) April 6, 2019
今のSayaに必要なもの、それは「声」
実写のような外見に、実現する人間のような動き。それから、人の表情を認識し、コミュニケーションを可能にするところまで進化したSaya。
でも、まだまだSayaの進化は止まりません。YouTubeで公開されている「saya project」のSayaが理想のSayaの姿であるなら、今のSayaに必要なものがあります。
それは「声」。
Sayaが「声」を発するとき、それはSayaが社会性を纏う大きな一歩、さらにはCGアートの大きな変革になるに違いありません。
CG女子高生Sayaの今後にも目が離せません。
Saya Twitter
TELYUKA saya project Beyond the Uncanny Valley / NHK WORLD-JAPAN |
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