埼玉の”放置禁止”騒動 ピンチ回避できず、失敗からの学びは?

もう説明するまでもない。だから、省いてもいいと思うけれど、もういっそのこと記録として残しておこうと思います。
埼玉県の虐待禁止条例の改正案は、その内容に多くの批判が集まり、撤回を表明。その後、改正案の撤回が正式に承認されることとなりました。
この改正案は、保護者らが子どもを自宅や車に残して外出するなどの「放置」を禁止し、小学3年生以下の子どもの放置を禁止、小学4年生から6年生の放置は努力義務と規定していました。
- 子どもだけで公園で遊ばせること
- 子どもだけでの登下校
- 子どもだけでのお使い
改正案では、これらの放置行為が”虐待”とみなされ、罰則はないものの、県民には違反者を見つけた場合、通報を要求する内容もありました。
これに対し、「厳しすぎる」「共働きの親にとっては現実的ではない」など議論が巻き起こりました。
いや。議論が巻き起こる。物議を醸す。そんな生半可な表現ではなかったように感じます。報道では反対の立場をとる意見の声ばかりが取り上げられ、ネットニュースでも「馬鹿げている」と少々乱暴な言葉が目立ちました。
批判の烈火は、その罪の程度と不釣り合いに思えるほどでした。そんなに責めなくても・・・
条例案に相次いだ反対の声、ピンチをチャンスに変えられず
埼玉県は、学童保育の待機児童の数が東京都に次いで全国2位とのこと。子育てに厳しい実情の中でこういった条例案は実態にそぐわないかもしれません。怒りを覚えるのもよくわかります。
そういった現場と乖離した政策や政治家の言動はこれまでも多くあり、その度に国民(今回は県民ですが)は怒り、悲しみ、失望してきました。
そういった議論はいろいろなところでなされているので、そちらに譲るとして。今回の件に関して、個人的に少し悲しいなぁ、もったいないなぁと思う事後対応が2つありました。
まず1つ目は誤りを認められなかったこと。
そして、2つ目は次の話(問題解決のため今後どうするのか)をしなかったこと。解決策はなくても、姿勢だけでもいいから示してほしかったなぁ。
誤りを認め、次に活かせなかった。ピンチをチャンスに変えることができず、ピンチをピンチのまま終わらせてしまった。非常に残念です。
条例案の取り下げを発表した自民党県議団の田村琢実団長は記者会見で、再提出の予定はないものの、「内容に瑕疵はなかった」としました。そして、このような事態に陥ったことを「説明不足だった」と述べました。
本当でしょうか。説明を尽くしたら、県民から理解を得られたのでしょうか。甚だ疑問です。
とは言え、窮地に追い込まれはしましたが、今回の一件は子育ての実情を気づいてもらう絶好のチャンスではあったと思います。
「子どもを安全に」という理念は理解できます。子どもを放置しての死亡事故が相次いでいるのも確かです。
「みなさまの声によって、私の問題とする認識、方向性が間違っていました。今はまだ模索中で詳細は言えませんが、早急に学童保育の待機児童の問題解決に向け対策を講じたい」
と、誤りを認め、さらには「問題解消へと力を貸してください!」と県民にアピールすることができたのではないでしょうか。
アピールはしなくてもいい、とにかく気持ちよく誤りを認めてくれ・・・そう思ってしまいました。そのプライドはどこに向けられているのでしょうか。誰がそれを評価するのでしょうか。
取り下げた改正案の再提出を問われると「ゼロベース」ということでしたが、どうしても達成したいアイデアだったんじゃないの?と突っ込みを入れたくなります。
ここまで県民を混乱に招いた改正案はまったくなくなってしまってもいいような、意味のないものだったのでしょうか?それでは、なぜそうまでして提案したのだろうと疑問を抱いてしまいます。
子どもを守りたい、安全を確保したいという思いは間違いではないはず。であるならば、
「みなさまからの貴重なご意見を賜りまして、課題がはっきりとわかりました。ただ、私の考え、そして、思い、子どもの安心・安全を確保するという思いは揺るぎません。今回は私の至らなさがありました。改めて、県民のみなさまに『これだ!』と思っていただける政策をこの文教都市からはじめたいと思っております」
くらいのことは言えなかったのだろうか・・・
埼玉の条例案撤回、教訓は?
それから、しばらくして、田村議員が番組で改正案を提出するに至った経緯を説明した記事を読みました。
そこには遅々として進まない待機児童の問題や県内での放置による虐待事案が背景としてあることがわかりました。
今回、団の責任者として矢面に立ち、批判を真っ向から受け止め、取り下げを決断したことは評価してもいいのではないかとは個人的には思います。内容は別として。「取り下げの決断を評価するのではなく、内容で評価する。それが肝心だろ!」と言われたら、私も閉口するしかない。その考えに賛成ですから。
ただ、失敗を失敗のままで終わらせてしまった感が否めない。思いは間違っていないはずなのに、とても残念に感じました。明日は我が身。そんなことを教訓として思った出来事でした。
埼玉県の虐待禁止条例の改正案は、その内容に多くの批判が集まり、撤回を表明。編集部のおすすめ記事
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