弱者が強者に勝つ!新しい評価基準をつくるセイバーメトリクスとは?
2015/02/24
![ビリー・ビーン](https://bright-magazine.com/wp-content/uploads/2015/02/20150223_0.jpg)
2011年に公開された映画で、ブラット・ピットが主演を務めた『マネーボール』。
![マネーボール](https://bright-magazine.com/wp-content/uploads/2015/02/20150223_10.jpg)
この映画は実際にあったお話をもとにつくられたもので、ある一人の男がメジャーリーグ屈指の弱小貧乏球団オークランド・アスレチックスをメジャーリーグで新記録を打ち立てるほどの常勝球団に変えるまでの物語となっています。
弱小チームを変革した人物が、オークランド・アスレチックスGMのビリー・ビーンです(冒頭の写真の人物)。
ビリー・ビーンはどのようにして弱小貧乏球団を常勝球団に変えたのか。
『林先生の痛快!生きざま大辞典』で紹介された内容をもとにその方法について紹介したいと思います。
ビリー・ビーンが成功した理由
弱小チームをメジャーリーグを代表する強豪に変えたビリー・ビーン。
そんなビリー・ビーンの名言から成功の秘密に迫ります。
![ビリー・ビーンの名言](https://bright-magazine.com/wp-content/uploads/2015/02/20150223_21.png)
- 評価に関して何を基準にするかが重要
- 他人を評価する時は偏見が入らない 客観的データが重要
- 新参者や新人から学べることはたくさんある
評価に関して何を基準にするかが重要
これまで野球選手を評価するのに以下の基準が設けられてきました。
![野球界の従来の評価基準](https://bright-magazine.com/wp-content/uploads/2015/02/20150223_3.png)
打者 打率・打点など 投手 防御率・勝利数など
オークランド・アスレチックスは他球団とは違い、優秀な選手がいない貧乏な球団。同じことをやっていては勝てない、そう思ったビリー・ビーンはこれまでとはまったく違う評価基準で選手を起用することにします。
その手法こそセイバーメトリクス!
セイバーメトリクス、Wikipediaには次のように記載されています。
野球においてデータを統計学的見地から客観的に分析し、選手の評価や戦略を考える分析手法である。
これまでの打率や防御率ではなく、客観的な分析に基づいた評価を行うということです。
![松井秀喜さんとイチロー選手の打率](https://bright-magazine.com/wp-content/uploads/2015/02/20150223_5.png)
メジャーリーグで活躍した日本人選手、松井秀喜さんとイチロー選手。
2010年の成績を比較すると、打率は松井秀喜さんが「.274」でイチロー選手が「.315」と4分も違う・・・
これまでの評価基準とすると、イチロー選手の方に優秀な選手としての軍配があがります。ところが、出塁率をみると・・・
![松井秀喜さんとイチロー選手の出塁率](https://bright-magazine.com/wp-content/uploads/2015/02/20150223_6.png)
松井秀喜さんが「.361」でイチロー選手が「.359」と、松井秀喜さんの方が高いのです。
きれいなヒットでも、フォアボールでも塁にでることは変わりませんよね?
2010年の松井秀喜さんの年俸は6億円で、イチロー選手は18億円です。
打率の評価で高い選手を獲得することよりも、これまでにない価値を見出し評価することによって選手を起用していく方法もあるのでは?
こうしてお金のないオークランド・アスレチックスは出塁率の高い選手を起用するマネーボール理論というセイバーメトリクスで勝利をおさめていくのです。
つまり、セイバーメトリクスとは・・・
![会社の経営理念を変える](https://bright-magazine.com/wp-content/uploads/2015/02/20150223_7.png)
モノを考える基準を変えることによって会社の経営理念まで変えることに使う
そういうものなのです。
同じことをやっても勝てないなら、他とは違うことをやらなければならない。
他と違うことをやったら失敗する可能性もある。失敗ぐらいしかできないのかもしれない。
そうだとしたら、もっと大胆に挑戦して失敗した方がいいんじゃないの?
なにかを変えなければならないのは明確だ!
そんな男気あふれる戦略がオークランド・アスレチックスを変えていくことになります。
他人を評価する時は偏見が入らない 客観的データが重要
このように新しい価値、評価基準を設け、戦略を打ち出していくビリー・ビーン。
とにかくこれまでの主観的な常識はいらない!ということでこんなこともします。
![野球未経験者を採用、古株スカウトを解雇](https://bright-magazine.com/wp-content/uploads/2015/02/20150223_8.png)
自分の補佐役に野球未経験者を採用
古株スカウト25人を解雇
新たな進歩には犠牲が伴うと言わんばかりに、スカウトを解雇してしまいます。
批判があったようですが、確かに経験値が高いほど「常識」や「先入観」、「主観」にとらわれるようになります。
「お金のあるチームと同じことをやっては勝てない」という信念のもと、そういった色眼鏡はなくさなければなりません。
常識を覆す!これが大きなヒントになりそうです。
新参者や新人から学べることはたくさんある
これまでの考えや価値観を捨てるためにも新しいものをとことん取り入れる。
セイバーメトリクスを考えた人は野球の専門家でも研究者でもなく、熱狂的な野球ファンのビル・ジェームズという人物です。
![ビル・ジェームズ](https://bright-magazine.com/wp-content/uploads/2015/02/20150223_9.png)
熱狂的な野球ファンが考えた分析手法を取り入れることはこれまでならしなかったはずですが、ビリー・ビーンはやるわけです。
「同じことをやって勝てるの?勝てないっしょ?じゃあ違うことをやろ?」がテーマらしいです。
それでも、ビリー・ビーンの力によってアメリカンリーグ新記録の20連勝を成し遂げるなど、強いチームへと変貌していったのです。
結果を残したからヒーローなのですが、同じことをやっては勝てないですし、同じ失敗なら大胆にチャレンジしよう!というのは理に適っているように思います。
弱者が強者に勝つ方法はそこにあるのではないでしょうか。
新しい「ものさし」を持とう
常識を覆す。
社会を構成している多くの人が、客観的に当たり前のものとしてきた価値観や知識、判断のことを常識と言います。
そういった社会通念を覆す、変えることはとても難しい・・・
それはたった一人でできることではないですし、会社などの事業体であれば既得権益を侵すことになりかねないし、結果が伴わければならない重圧があってリスキーなことだからです。
それでも規模の経済がものをいう社会では、資金力がない企業はなかなか大企業にはなかなか勝てないです。
小さな会社がお金やマンパワーのある大きな会社に勝つには違う手法で戦わなければならない。
これまでにない新しい「ものさし」によって新たな価値を見出していかなければ解決されないのではないでしょうか。
日常的にも同じことが言えて、たとえば「平均寿命」がそれに当たると思います。
日本は平均寿命が世界的にも長く”長寿大国”なんて言われています。
おそらく多くのひとが男女の平均寿命が何歳くらいかと答えられると思います。そのくらい一般化された”基準”だと思います。
でも・・・
「健康寿命」という言葉は知っていますか?
日本の健康寿命は何歳か答えられますか?
![平均寿命と健康寿命](https://bright-magazine.com/wp-content/uploads/2015/02/20150223_111.png)
平均寿命と健康寿命では男女平均で10年近く差があるわけです。
この10年は介護などが必要となる可能性が高いと言われ、このことが原因で介護うつになってしまったり、なかには殺人事件が起きたりしています。
平均寿命が長ければ良い社会なのでしょうか?長生きをすることが目的であるべきかどうか疑問になってきませんか?
この健康寿命を新たな評価、価値基準にし、多くの人がこの課題を共有すれば何か打開策がでるかもしれない。
「これはこうだ」と決まっている基準こそ、問題があって、新しい「ものさし」を持つことで問題や課題が解決されるのだと思います。
みなさんはどのように考えるでしょうか。
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