権威に屈しないのは人間の持つ強さ!「2+2=5」という新常識に立ち向かう生徒
2015/04/15

2012年、英国アカデミー賞の「BAFTA Award for Best Short Film」にノミネートされた作品『Two & Two』。
コンクリートむき出しの灰色の壁に囲われた無機質な教室で、生徒たちは専制状況下にあり「2+2=5」と教え込まれます。懐疑的な生徒、そして反抗的な生徒が「違う」と立ち上がりますが、力によって封じ込められます。
Two & Two

Two & Two

冷淡な空間が広がる教室で生徒たちが駄弁っています。

先生が教室に入ると、生徒たちの声がピタッとやみます。

先生、コワい・・・

腕時計を眺める先生。

すると、教室にあるスピーカーからアナウンスが流れてきます。
Good morning students…
みなさん、おはようございます。

This is headmaster speaking.
(話しているのは)校長です。

I don’t want to take up any of your valuable lesson time…
君たちの貴重な授業時間を奪いたくはないのですが・・・

but just to let you know that today there will be some changes in the school.
今日は学校からお知らせしなければならないことがあります。

Your teachers will advise you further.
君たちの先生はとても良い助言を君たちにしてくれます。

Please pay attention and follow their instructions to the letter.
先生の言うことに注意して、先生の教えには従うようにしましょう、それは文字通り「従う」ように。
スピーカーから流れてきたのは「先生の言うことは絶対!」という命令だったのです。
放送が終わると、授業が始まります。強面の先生は黒板に次のように書いていきます。

2 + 2 = 5
ざわつく生徒たちに「静かに!」と制します。

We will have order in the classroom!
これがこの教室での「ルール」だ。
先生はこう続けます ー

Two and two is…?
2 + 2 は?
先生は生徒たちに「2 + 2 = 5」と叩き込みます。

Five!
5!
生徒たちはバカバカしい不合理を目の前にしながらも「2 + 2 = 5」と復唱していきます。

AGAIN! Two and two is?
もう一度!2 + 2 は?
先生は繰り返し繰り返しこの間違った計算を教え込みます。

FIVE!
5!
すると、一人の生徒が手をあげます。

But Sir, surely two plus two is four?
でも、先生、「2 + 2」は”4”ですよね?
生徒はごく自然な疑問を先生に打ち明けます。

You have been told that two plus two is five.
「2 + 2」は”5”と教えただろう。
先生はそんな生徒の疑問を押しのけます。

You will not question this. Do you understand?
もうこの質問をするんじゃない。わかったか?

Don’t think. You don’t need to think.
考えるな。考える必要などない。
畳み掛けるように、生徒に力強く言います。

Two plus two is five.
「2 + 2 = 5」だ。

Get out your notebooks and write this down.
ノートを取り出して、書きなさい。
そう言うと、それでも納得のできない一人の生徒が立ち上がります。

Sir! Two plus two IS four!
先生!「2 + 2 = 4」だよ!

It’s always been four!How can it be five?
これまでずっと”4”だ!なんで”5”になるんですか?
反抗的な生徒に先生はたまらず ー

Who give you permission to talk?
誰が話していいと言った?

Two plus two is five. Say it!
2 + 2 = 5だ。さぁ、言え!
先生は従わせるように圧力をかけていきます。

Two and two is four‥
2 + 2 = 4だ。
生徒は自分の両手を使って他の生徒に訴えかけます。

surely you can all see that?
みんな、わかっているんだろ?

You know it’s four, why don’t you say so?
答えが”4”だって知っているだろ、なんで言わないんだ?
先ほど手を上げて主張した生徒にむかって言います。

Don’t move until I get back.
私が戻ってくるまで待っていろ。
お冠の先生はそう言い残し、教室を後にします。

先生は3人の優秀な生徒、ここで言う「優秀」とは文字通り従う生徒を連れて教室に戻ってきました。
再び、生徒に問います ー
Boy, tell us again what two plus two equals.
もう一度「2 + 2」がいくつか言ってくれないか

Sir, the answer is four, Sir.
答えは”4”です。
生徒の答えは変わらず・・・
すると、先生は生徒を黒板の前に立たせ、次のように言います。

Now, complete the sum.
さぁ、完璧な合計を(書きなさい)。

すると、3人の優秀な生徒は銃を構えるポーズをとり、銃口を反抗的な生徒に向けます。

This is your last chance.
これがラストチャンスだ。
そう告げ、白いチョークを渡します。

それでも、生徒は「2 + 2 = 4」と書きます。
そして、そのとき・・・!

引き金が引かれ、乾いた銃声が教室に響きます。そして、生徒は ー

殺されてしまいました・・・黒板に血が飛びます。

Does anyone else not understand today’s lesson?
今日の授業でわからない生徒はいないな?
高圧的に先生は告げると、生徒の顔を覗きこんでいきます。

そして、血塗られた黒板に書かれた計算を消していきます。

再び、「2 + 2 = 5」と書き、こう言います。
Open your notebooks and write this down.
ノートを開いて、書きなさい。

惨状を目の当たりにした生徒は黙々と板書した計算をノートに書き込んでいきます。

しかし!「5」に取り消し線をひく生徒が。そして・・・

「4」と書き込みます。これがこのショートフィルムのエンディングとなります。
大きな力に立ち向かう強さは絶えることはない
『Two & Two』について監督は次のように語っています。
My main motivation to make Two & Two was to explore the desire which drives people to challenge authority in a despotic situation. I believe such desires are within all of us.
『Two & Two』を制作することになった主な動機は専制状況下で人々が権威に立ち向かっていくことの欲望、欲求を探求することです。
そういった欲望や欲求は私たちのなかにあるものだと思っています。
生徒たちにとって先生は絶対的な存在で、従うべき対象です。小学生の頃を思い出してみても、先生に歯向かうというのは大罪を侵すような、そのくらい大きなことです。
それでも、民主的な立場をとる国が多い世界では、何かに対して疑問を持ったり、不条理や不合理に立ち向かっていくのは立派な権利だと思います。独裁的ではあってはならないのです。
この作品で描かれている、反抗したことによって眼前で殺された生徒がいても、「2 + 2 = 4」であるとノートに書く生徒がいるように、大きな権威や権力に対する「挑戦」というのは決して絶えることがない、この作品は大きな力に立ち向かう強さ、人間が根底に持つ反骨心を描いているのではないでしょうか。
みなさんはどのように考えるでしょうか。
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