私たちは何のために働いているのか?やりがいのある働き方について考えてみる
2022/01/27

私たちは何のために働くのか?
打っては返す波のように曖昧なカタチをしたその答え・・・一体、何にやりがいを感じ、なぜ働いているのか。
仕事をするのはお金のためという答えは至極シンプルですよね?
みなさんが仕事をする理由、はたまた仕事を続けることができる理由はお金だけではないはずです。
行動経済学者のダン・アリエリー氏がTEDで「労働」と「報酬」の関係、そして仕事をする意義についてプレゼンをしました。
そのプレゼンから良質なヒントを得ることができるかもしれません。
やりがいが重要だとわかっていても、どれほど重要かは理解できていない!?
行動経済学者であるダン・アリエリー氏。
労働と報酬についてどのような関係性があるのか以下の実験を行いました。

画像にあるようなロボット型レゴを$3.00で作ってくれないか?と被験者に依頼します。
「はい」と答えたら、作ってもらい、次に ー

$2.70で先ほどと同じようにレゴを作ってくれないか?と依頼します。
これを答えが「いいえ、もう作りません」となるまで、$2.40…$2.10…$1.80と報酬を下げていきます。

ここで条件です。
作り終わったロボット型レゴは机の下に並べていきますが、次の被験者のために最後にはバラバラにすることを伝えておきます。
つまり、作り上げたロボット型レゴは破壊(表現は違いますが…)されることになります。
それでも、作り上げたロボット型レゴが並んでいく様はやったことに対する成果がわかるので悪い気はしません。
これは「意義のある状況下」にあります。
そして、もう1つ別のグループにも同じことをさせます。
$3.00でロボット型レゴを作ってくれないか?と聞いて、「はい」と答える。レゴを組み立て終わると、$2.70で再度依頼し「はい」と答えたら、新しいレゴを渡します。
そして、ここが先ほどと違う点です。作り終わったレゴは机の下に並べていかないで、目の前でバラバラにします。

同じように値段を下げていき、「いいえ」と答えるまでレゴをつくり、バラバラにし、つくり、バラバラにし・・・それを繰り返していきます。
作り上げても目の前でバラされる。これは「徒労の状況下」にあります。

当然のことのようですが、「意義のある状況下」と「徒労の状況下」では、11対7と作ったレゴの数に差が生じました。
また違う実験として、実際にレゴを作ってもらうのではなく、上記の実験についての説明をした後で、「2つのグループで完成させたレゴの数はどのようになるか?」と質問をします。

すると、「意義のある状況下」で作業をしたグループの方が「徒労の状況下」で作業をしたグループよりも1つ多く作るだろうと答えたのです。
たった1つだけですよ?不思議ですよね。
つまり、人々は仕事に対して「意義」や「やりがい」が大切である、重要であると理解はしていても、その重要性の度合いについては全く理解していないのです。
この意義の本質を軽視するとどうなるか・・・
同じ実験を、今度はレゴの好きな人と嫌い(苦手)な人に対して行います。
レゴを組み立てるのが好きな人はそのことに喜びを感じることができるのですから、バンバン作っていくと予想できますよね。

「意義のある状況下」、つまり、机の下に成果物を置いていく方は、レゴ愛に比例して、その数を増やしていきました(グラフ、赤線)。
しかし、完成したレゴを目の前でバラバラにしていく「徒労の状況下」では、レゴ愛があってもなくても、その数に変化はなく、作業(仕事)に対する愛とアウトプット(成果)の相関はありませんでした(グラフ、青線)。
このように、意義を軽視してしまうと、その仕事に対し愛があっても、喜びがあっても、その心的ダメージによってそのすべてを奪い去ってしまうのです。
経営者や部下を従える上司は、仕事に対する意義だけでなく、その重要性の度合いについても理解することをおすすめします。
知らないところで、メンバーや部下のモチベーションを下げているかもしれません・・・
ここまではネガティブ・モチベーションについて話しましたが、次はモチベーションや仕事に対する意欲がどのように上がっていくのかについてです。
あなたの仕事を好きになるには努力が必要
ダン・アリエリー氏はプレゼン中でIKEAの組み立て式家具について、「不器用でうまく組み立てられなくて、人よりも組み立てに時間はかかるし、完成するまでにとても苦労する」と話していました。
しかし、その家具が苦労の末、完成すると「どの家具よりも好きになっている」とも話しています。
ダン・アリエリー氏はこのことをイケア効果(IKEA Effect)と呼んでいます。
どうやらこの「苦労」に仕事を好きになる”なにか”が隠されているようです。

被験者に折り紙の説明、その手順が書かれた紙をわたします。

被験者はみな、折り紙初心者で、成果物は不細工でお世辞にも「鶴だ」と言えるシロモノではありません。
それでも、被験者に対し「これはあなた方がつくったものですが、これは私たちのもので、あなた方にこの折り紙を売ります。いくら支払いますか?」と質問します。
ここで、被験者は2人(2グループ)いて、一方は製作者(折り紙を折った人)で、他方は観察者(製作者がつくっている過程を見ていた人)です。

すると ー
製作者の方が観察者よりも5倍も高い値段をつけるという結果になりました。
ここで疑問なのは、「自分が作ったから、不格好でも高い値段をつけるよ!」なのか、「自分がこれだけ苦労して気に入っているのだから、他の人もきっと気にいるはずだ!」のどちらなのかということです。
どういう思いで高い価値をその折り紙につけることになったのか・・・

答えは後者。自分と同じ価値観を他の人もきっと持っているはずだと思って高値をつけたのです。

さらに、折り紙の手順書の一部を削除し、難易度をあげて折り紙を折ってもらいます。
当然のことながら、先ほどよりも苦労して折り紙を折ることになります。
そして、作り終わり、同じように「いくらで買いますか?」と質問すると、先ほどの折り紙と比べてより醜いものになったにも関わらず・・・

製作者はさらに高い値段をつけることになったのです。そして、観察者はクオリティの低さから値段を低くつけることになります。
つまり、仕事において十分な努力をすることで、人はその仕事をより好きになり、さらには他人が自分と同じように仕事に対し価値を見出してくれていると思えるのです。
他人が価値を見出していることが真実ではなくても、仕事に対して自信を持てることは組織にとってポジティブな要素だと思えます。
働くことの意味とはなにか
人間社会において、なにが正義(正解)なのかとか、価値のあるものが何なのかは一般化されているかどうかで決まると思います。
誰かが大切にしているコレクションよりも同価値のお金の方が正義で、価値のあるものです。それが同じ値段であっても。
それはお金という価値が万人に共有され、一般化されているからです。
なぜ働くのか?
答えは人それぞれ違うはずですが、ほとんどの人が「お金をもらって生活していくため」となるのではないでしょうか。
それが一般化された答え、つまり、正義(正解)なのです。
こうしてみると、労働市場の仕組みは至ってシンプルなものです。みんな、お金のために働いていて、お金さえあれば迷わず従わせることができる。
でも、そう言われると気分の良い表現ではないように思いますよね?おそらく、そうではないから、それだけではないからです。
自分たちの意思や信念、誇り、努力や弛まぬ研鑽が「働く」という行為のなかにあるからです。
こう考えると、一般化を凌駕したなにかが「仕事」にはあるのかもしれません。だからこそ、価値や意義がブレてしまい、迷うのかもしれません。
雇う側も雇われる側も、何のために仕事をしているのか、その意義を理解するだけでなく、意義における重要性の度合いについてもしっかりと知るべきです。
そして、自分が「これだけやったのだ」と言える、十分な努力ができる環境をつくっていくことが素晴らしい組織、社会を創出していくのではないでしょうか。
たったこれだけのことで希望が生まれる社会になるのなら、もう一度働くことの意義について考えてみるのもいいかもしれません。
みなさんはどのように考えるでしょうか。
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