日本人初でマリインスキー・バレエに入団した石井久美子さんに学ぶ「成長する人間」の極意

クラシック・バレエの世界最高峰と言われるロシアのマリインスキー劇場。

誰もが知るクラシック・バレエの名作「眠れる森の美女」、「くるみ割り人形」、「白鳥の湖」はマリインスキー劇場で初演されました。

このマリインスキー劇場を本拠地とするのが世界屈指の名門、マリインスキー・バレエ団。
マリインスキー・バレエ団は、パリ・オペラ座バレエ、英国ロイヤル・バレエ団、ボリショイ・バレエ、アメリカン・バレエ・シアターと並び、世界5大バレエ団のひとつとされ世界最高峰と言われています。
2013年、日本人としてはじめてこの最高峰ロシアバレエ団に正式に入団したのが石井久美子さん(当時19歳 | 1993年生まれ)です。

自分がなりたいのは表現力が豊かなバレエ・ダンサー。
自分にすごいプレッシャーをかけてます。
「今ちゃんとやらないと次はないんだ!」って毎回思いながらやっています。
NHKの番組での取材で自身のバレエに対する姿勢をそのように語る石井久美子さん。

それもそのはず。マリインスキー・バレエには300人もの世界各国の精鋭たちが所属していて、ダンサーはみな1年契約。
バレエの役割は階級制のようになっており、下からコール・ド・バレエ、コリフェ、プリンシパル・キャラクター・アーティスト、セカンド・ソロイスト、ファースト・ソロイスト、そしてヒエラルキーの頂点となるプリンシパルからなります。
実力を出せなければ勝ち上がるどころか、現状にとどまることもできない過酷な世界なのです・・・

配役とスケジュール表が掲示板に貼られ、食い入るように確認する石井久美子さんの姿。

スコットランドの農村を舞台に人間と妖精の恋模様を描く「ラ・シルフィード」の妖精役です。
新人でありながら大役を任されることになります。
現状に決して満足しないこと
バレエに対する考え方について、石井久美子さんは次のように話しています。

結局は自分の納得できる踊りができないと、まわりにも認めてもらえないしっていうことだから、別にコール・ド(・バレエ)にいても、ソロイストにあがっても自分の納得する踊りを目指してやるっていう考え方しか私の中にはなくて。
今やっていることの目的はなんなのか。プリンシパルを夢みて這い上がっていくことだけがすべてなのか。
そうではなくて、「自分の納得できる踊りができること」が目的なわけで、それは自分がどんな役でもどんな位置でも変わらない。この考え方はとても勉強になりますね。
そして、スタッフから「納得する日は来るんですか?」と質問されると ー

いやでも、そこで納得する日が来ちゃったら多分おしまいだと思うんですよ。
それを追求して追求して、どんどんどんどん積み重ねて、ちょっとずつちょっとずつ上に上がれるのかなと思うので。
成長する人間に共通するものに「向上心」があります。現状に決して満足しない。
よく無限の可能性という言葉を耳にします。まさにこの満たされていないなにかを「納得するまで」とことん補おうとすること、そしてそれを積み重ねていくこと、その姿勢に無限の可能性が生まれてくるのだと思います。
「日本人初の快挙だー」とか、「アジア人で私だけだー」で満足していたら、石井久美子は石井久美子でなくなってしまうのです。
代わりの人間は「まだかまだか」とその席を狙っているわけです。石井久美子さんがおっしゃるように、立ち止まったらそこで「おしまい」なのです。
石井久美子さんが学生時代に厳しい指導を受けたリュドミーラ・コワリョーワ先生、曰く ー

彼女はエレベーション(高くジャンプできること)、ターンも素晴らしく、フットワークもきれいで、すべてにおいて優れているわ。

それもすべて練習のおかげよ。

バレリーナになるのは本当に難しいのよ。

たとえ才能があっても、頭がよくても、弛まぬ努力を続けなければならないのよ。
石井久美子さんがいかに厳しい世界におかれているかがわかりますね。才能があっても、それだけではやっていけないようです・・・
才能を見抜く人間と才能を伸ばす人間がいること
ある人間が成長していき、なにかにおいて才能を開花させるには、その人だけの努力や運だけではなんともならないことがあるのではないかと思います。
第一線で活躍している人の多くは出会いに恵まれています。
その出会いとは才能を見抜く人間、そして才能を伸ばす、または活かすことのできる人間との出会いです。
石井久美子さんも例に漏れません。石井久美子さんが中学生当時に指導を受けていたバレエの先生は次のように語っています。

身体的な条件だとか、テクニックももうとにかくずば抜けている優秀な生徒なんだけれども、どこか未完成感が漂っているような、不思議な空気を持った生徒でした。
誰もいない環境で一人で頑張るっていうことが必要なんじゃないかなと思って、日本ではなく海外でこれから勉強していったらいいんじゃないかということでお母様にお話をしました。
そして、16歳のときにオーディションに合格し、本場ロシアに留学することになりました。
石井久美子さんはこの先生に出会っていなければ、そしてこの先生に石井久美子さんの才能を見抜く力がなければ、バレエの最高峰で舞うこともなかったでしょう。もっと言ってしまえば、それを「Go!」とサインを出す親御さんの存在もあるわけです。

話を戻して・・・「ラ・シルフィード」の妖精役が決まり、公演を前にリュドミーラ・コワリョーワ先生に教えを乞います。

普通の女の子じゃなくて妖精になるんでしょ!
リュドミーラ・コワリョーワ先生の激が飛びます。そして、成果が感じられレッスンが終わります。
リュドミーラ・コワリョーワ先生は石井久美子さんに次のように伝えます。

あなたはものすごい才能があるのよ。頭を使ってそれを活かすのよ。
リュドミーラ・コワリョーワ先生からの嬉しい言葉を受け止められない石井久美子さんは ー

そんなことができるとは思えないんです。
すると、リュドミーラ・コワリョーワ先生はすかさず・・・

そんなこと言っちゃダメよ。あなたは賢い女の子なんだから。
そう言いながら頭を撫でます。

他の先生が言ったことなんか忘れちゃいなさい。

思い出して、あなたは(世界最高峰の)マリインスキーに選ばれたのよ!
リュドミーラ・コワリョーワ先生が石井久美子さんに自信をつけさせます。
このように才能を潰さず、埋もれさせず、活かすことのできる人間が成長するためには欠かせないファクターになるのです。
この2人だけではもちろんないとは思いますが、この2人の出会いは石井久美子さんの人生に大きな影響を与えているのではないでしょうか。

そして、無事に「ラ・シルフィード」のショーが終わります。
石井久美子さんは笑顔ですが、やはり現状に満足していないようです。

「よく頑張りました」みたいな感じはあると思うんですけど、全然納得は本当はできていないんで。
「納得しました!」は無理です、たぶん。いや、でも・・・
いつかは絶対(プリンシパルに)。
向上心と出会い。この2つがさらなる高みへと導くことに必要な要素であると思います。
弛まぬ努力と自分を導いてくれる素敵な人と良きパートナーシップを気づくことが大切なのではないでしょうか。みなさんはどのように考えるでしょうか。
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