DODAのCMに採用されたチャールズ・チャップリンの力強いスピーチに心打たれる

ことばには力がある。

励ますことも、勇気づけることもできる。

貶すことも、傷つけることだってできる。

改めてことばのもつ力に気付かされたのがYouTubeなどで流れていたDODAのCM。

サラリーマンを演じる綾野剛さんが出演しています。

DODA CM – 戦え！自由のために。

これだけは伝えたい。

絶望してはいけない。

自由は決して

滅びることはない。

君たちは機械ではない

家畜でもない。

人間なんだ！

君たちには力がある。

モノを発明する力が、

幸福を生み出す力が、

君たちには力がある。

人生を自由で美しく、

素晴らしい冒険に変える力が！

Fight for liberty !

戦え！自由のために。

「君たちには力がある。人生を自由で美しく、素晴らしい冒険に変える力が！」

・・・いいメッセージですね。

この声の主はなんと世界の喜劇王 チャールズ・チャップリン。

ただおもしろいことをやっているひょうきんなおっさんコメディ俳優かと思っていたのですが、こんな一面を持っていたとは。さすが世界の偉人・・・。

このセリフは、チャールズ・チャップリンが監督、製作、脚本、そして主演を務めた『独裁者(The Great Ditactor)』という映画のワンシーンで使われたもの。

『独裁者(The Great Ditactor)』はアドルフ・ヒトラーの恣意的な独裁政治を批判した作品として世界中で知られています。

物語は独裁者ヒンケルとその政治状況に反対している床屋のチャーリー(ともにチャップリンが演じている)が将兵たちの間違いで立場が入れ替わってしまうというもの。

独裁者ヒンケルに間違えられたまま、兵士たちの前で演説することになった床屋のチャーリー。そののスピーチがDODAのCMで使われたのです。

映画では、内務大臣兼宣伝大臣であるガービッチが「すべてヒンケルの言うとおりにせよ！ヒンケルに従え！」と演説を行った後に、このチャップリンの「戦え！自由のために。」スピーチになるのですが、この流れも神的・・・

支配や迫害のために戦うのではないのだと。あなたがた一人ひとりの自由のためなんだと。

スピーチが終わると、兵士たちからは拍手喝采！

チャップリン、圧巻スピーチの全文

I’m sorry.

But I don’t want to be an Emperor. That’s not my business.

I don’t want to rule or conquer anyone.

I should like to help everyone if possible.

Jew, gentile, black man, white.

すまない・・・

私は皇帝になんかなりたくないんだ。そんなことは私には関係のないことで

できるなら、できることならみんなを救いたい・・・

ユダヤ人もキリスト教徒も黒人も白人も、すべてのひとをだ。

We all want to help one another.
Human beings are like that.

We all want to live by each other’s happiness.
Not by each other’s misery.

We don’t want to hate and despise one another.

In this world, there is room for everyone and the earth is rich and can provide for everyone.

お互いに手をとり合って生きていく。人類はそうあるべきだ。

お互いの幸福のために生きていく。決して不幸のためではない。

恨み憎しみ合いなどしたくない。

この世界は誰のものでもなく、誰もが平等に幸福を与えられるべきなんだ。

The way of life can be free and beautiful.

But we have lost the way.

Greed has poisoned men’s souls, has barricaded the world with hate, has goose-stepped us into misery and bloodshed.

私たちは人生を自由で輝かしいものにすることができるはずなのに・・・

私たちは見失ってしまったんだ。

「足りない、足りない」とどこまでも求めようとする貪欲さが私たちの心を蝕み、憎悪の壁で世界は囲まれ、悲惨な虐殺へと私たちを導いた。

We have developed speed, but we have shut ourselves in

Machinery that gives abundance has left us in want.

Our knowledge has made us cynical, our cleverness hard and unkind.

私たちはとてつもない速さで進化してきた。けれど、その進化には私たちの”思い”などない。

機械は私たちに富とともに貧困も与えた。

知識は私たちを冷笑的にし「賢くあること」を冷酷で薄情なものに変えてしまった。

We think too much and feel too little

More than machinery, we need humanity.

More than cleverness, we need kindness and gentleness.

Without these qualities, life will be violent and all will be lost.

多くのことを考えるが、そこに感情はない。

機械なんかより人間的であることが私たちには必要なんだ。

賢くある必要なんかない。やさしさや思いやりが必要なんだ。

そうでないと、暴力だけが私たちを支配し、すべては失われる。

The aeroplane and the radio have brought us closer together.

The very nature of these inventions cries out for the goodness in men, cries out for universal brotherhood for the unity of us all.

Even now my voice is reaching millions throughout the world, millions of despairing men, women and little children, victims of a system that makes men torture and imprison innocent people.

To those who can hear me, I say “Do not despair”.

飛行機とラジオは私たちを一気に近づけた。

この叡智は私たちに訴えかけ世界をひとつにする力があるんだ。

今この瞬間も私の声は世界中の人々に届いている。

絶望しているひとにも。

無罪にも関わらず収監し拷問を受けた犠牲者にも。

聞こえるだろう、人々よ。私は伝えたい。「絶望してはいけない」と。

The misery that is now upon us is but the passing of greed, the bitterness of men who fear the way of human progress, the hate of men will pass and dictators die.

And the power they took from the people will return to the people, and so long as men die, liberty will never perish.

貪欲さはたった今過ぎ去り、人類の進化に恐れを抱いているひとの苦しみも、人々の憎しみ合いも消え、独裁者も死に絶える！

そして人々は奪われた権力を取り戻す、自由は決して死なない！

Soldiers, don’t give yourselves to brutes, men who despise you and enslave you who regiment your lives, tell you what to do, what to think and what to feel, who drill you, diet you, treat you as cattle, as cannon fodder.

兵士諸君、犠牲になるな！やること、思うこと、そして感じることをいちいち命令し、食べるものも決められ調教させられ、まるで家畜のように扱われる独裁者の奴隷になるな！

Don’t give yourselves to these unnatural men, machine men, with machine minds and machine hearts.

You are not machines.

You are not cattle.

You are men.

You have the love of humanity in your hearts.

You don’t hate, only the unloved hate.

Only the unloved and the unnatural.

Soldiers! Don’t fight for slavery, fight for liberty.

人間ではない奴らに、機械的な思考と機械的な心を持つ冷徹な奴らに犠牲をはらってはならない！

きみたちは機械じゃないんだ！

人間だ！

ひとを慈しもうとする心を持っているじゃないかっ

愛を知らない人間だけが憎しみ合うんだ！

兵士諸君！独裁者のために戦うな、自由のために戦え！

In the seventeenth chapter of Saint Luke it is written “the kingdom of God is within man”.

Not one man, nor a group of men but in all men in you, the people.

『ルカによる福音書』17章にある、”神の王国は人間の中にある”と。

ひとりの人間でも、特別に選ばれた人たちでもなく、すべての人間の中にあるんだ！

You the people have the power, the power to create machines, the power to create happiness.

You the people have the power to make life free and beautiful, to make this life a wonderful adventure.

君たちには力がある！

機械を発明する力が、幸福を生み出す力がある。

君たちが持つその力が人生を自由で美しいものにし、素晴らしい冒険へと変えるのだ！

Then in the name of democracy let’s use that power, let us all unite.

Let us fight for a new world, a decent world that will give men a chance to work, that will give you the future and old age and security.

その力を民主主義のために使おうではないか！そのために団結しよう！

これからの世界のために戦おうではないか！

みんなに雇用のチャンスが与えられ、安全で明るい未来と不安のない老後が与えられるまともな世界のために。

By the promise of these things, brutes have risen to power, but they lie.

They do not fulfil their promise, they never will.

Dictators free themselves but they enslave the people.

同じような約束を独裁者もした。

そうやって彼らは自分たちの力をつけてきた。だが、彼らは約束を守らなかった。

独裁者はいつでも自分たちに自由を与え、人々は言いなりになるよう縛りつけた！

Now let us fight to fulfil that promise.

Let us fight to free the world, to do away with national barriers, do away with greed, with hate and intolerance.

Let us fight for a world of reason, a world where science and progress will lead to all men’s happiness.

Soldiers! In the name of democracy, let us all unite!

戦おう！約束を果たすために。

世界の自由のために、国境をなくし、貪欲さも憎しみもなくし、許しあえる世界のために。

戦おう！理性のある世界のために。科学や進化が人類の幸せに導いてくれる、そんな素晴らしい世界のために。

兵士諸君！民主主義の名のもとにひとつになろうではないか！

生きていくことは選択の連続だ

とてつもなく邪悪な人たちがいて、おそらくどんな制度や権力をもってしても絶えないのでしょう。

それでも、チャップリンのような偉大な人たちの導きによって、人類はこれまでにいくつもの憎悪や苦難を克服してきました。

自由とは、選択肢が多くあることです。

このスピーチを転職活動(仕事)に使用するのはいかがか、という議論もなされているようです。

それでも、生き方や考え方、働き方などを自らの意思で選択することに関して言えば、共通する部分も見出だせると思います。

誰にでも自由が保証されているこの国では、その自由(選択肢)が強制に変わることがあります。

教育、職業や働き方もそれに当てはまると思うのです。

たとえば、高校という教育機関は義務ではないですが、多くのひとが通います。

その選択は当然かもしれませんが、その人の意思ではなく社会がさせている選択かもしれません。

求人をみると高い確率で高卒が応募条件になっていることもひとつの証明だと思います。

つまり、その選択は流れです。

みんながそうだからやる。

職や働き方にも同じことが言えると思うのですが・・・

マジョリティは”流れ”に身を委ねられて安心できますが、意思のないことが多い、そう思います。

生きていくことは選択をしていくことで、その選択の質がよければ良いほど密度の濃いものになっていく、充実したものになっていくと思うのですが、みなさんはどのように考えるでしょうか。

DODA CM「チャップリン」篇 45sec.（出演：綾野剛）

The Great Dictator – Speech to Humanity

 -感動・驚き