エスカレーターの右側にしか立てない女性、その理由は

エスカレーターの左側に多くの人が立つ中で、エスカレーターの右側に立つひとりの女性がいます。NHK福岡放送局の公式ツイッターで投稿された動画です。
エスカレーターの
— NHK福岡 (@nhk_fukuoka) December 21, 2021
右側にしか立てない女性
左半身にまひがあります
「2列乗り」が
当たり前になって欲しい pic.twitter.com/Y6sOSU9v3a
投稿には「エスカレーターの右側にしか立てない女性」とあります。
右側に立っているのではなく、右側にしか立てない ー
理由は「左半身にまひがある」から。そのため、女性はエスカレーターの右側に立たないといけないと言います。
「邪魔だ」「急いでるからどいてくれ」と言われたことも
埼玉県では、2021年10月1日に全国で初となるエスカレーターを歩かず立ち止まって乗るよう利用者に求める条例が施行されました。
電車に乗ったり、乗り換えをするのに急いでいる利用者がいるため、エスカレーターを歩けるように片側を空ける習慣が根付いています。さらに、この片側空けを”マナー”だと認識している人もいるのだとか。
このエスカレーター条例はエスカレーターの事故防止のためではありますが、こういった習慣や認識のせいか、条例には賛否両論があったようです。
エスカレーターの右側にしか立てない女性は、「邪魔だ」「急いでるからどいてくれ」などと言われたこともあるそうです。
「わたしはあなただったかもしれない」
報道記者としてニュース番組などの制作にあたってきた、大脇三千代さんが書いた「わたしはあなただったかもしれない」というエッセイがあります。
筆者の大脇さんが大学生だったとき、通学電車の中で、ある吊り広告に目が止まります。
その広告には、こちらを大きな瞳で見つめる痩せ細った子どもの姿が。そこに ー
「わたしはあなただったかもしれない」
というコピーが添えられていました。
筆者はこの広告に「ああ、そうだよなあ」と思い、その後、記者になるのですが、取材をするときは常にこの言葉が浮かぶようになりました。
「もしわたしがあなただったら、この現実をどんなふうに感じるだろう」と想像して、考えてみることが「取材の大原則」みたいなものになったと語られています。
とは言え、「あなた」は「わたし」ではない。「あなた」の抱える苦しみや悲しみが「わたし」には完全にはわからないかもしれない。自分がやってきたことに「これでいいのか?」と、そう思うようになります。
ここから本文は「想像力」の話に移っていきます。
絶望することができるから、希望を持つことができる
霊長類研究者の松沢哲郎氏の著書「想像するちから」には、人間とチンパンジーの違いはまだ見ぬ世界を「想像する力」であると述べられています。
チンパンジーは絶望しない。「自分はどうなってしまうんだろう」なんて考えないから。
一方、わたしたち人間は未来を悲観して、絶望し、打ちのめされてしまうことがあります。
しかし、「絶望するのと同じ能力、その未来を想像するという能力があるから、人間は希望を持てる」と松沢哲郎氏は言います。
絶望するのと同じ能力があるからこそ、希望を持つことを可能にしているというのです。
それこそが人間の「想像する力」であって、この力があるからこそ、わたしたち人間は今はまだ見えていない未来、ここからでは見えないはるか遠くの異国にいる誰かを思いはせることができるのです。
筆者はこの事を知り、「大丈夫、それでいいんだよ」と思えたと話しています。
自分とどうつながっているのか、想像してみること
そして、エッセイにはこうつづられています。
社会の「今」を見つめ、その奥にある真実を想像してみること。自分とどうつながっているのか、そしてその現実に対して何ができるのか想像してみること。それをやがて希望あふれる未来へとつなげていくことも。
私たちには「想像する力」があります。エスカレーターの右側に立っている人がいたら、「邪魔だ」と思わず、ちょっと立ち止まり、なにか理由があるかもしれないと想像してみましょう。
わたしはあなただったかもしれない。わたしがあなただったら。想像してみましょう。
そうすることで、より良い社会のあり方がみえてくるはずだと、そう信じています。
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